あなご百科

国産あなごの産地について

『国産あなごの産地について①』
昔、私の父が「これは美味しいあなごだ」と印象に残った産地
  ① 明石と岩屋の間(セトバイ)(特に7月から8月10日の夏のあなご)
  ② 九州の柳川
  ③ 九州の天草
  ④ 瀬戸内海の宮島
  ⑤ 瀬戸内海のとも
①~⑤の産地は、現在漁獲量が少ないため、通常、大阪への流通経路は確立されていない。

美味しい国産あなごの条件
  ① 藻や泥(山の土が川へ流れてくる三角州沖によくあった環境)に住んでいること。
     あなごの餌が豊富にあるから (岩場は良くない)
  ② 湾内で海が静かな場所に住んでいること。
  ③ 旬であること(6月~お盆まで、10月~12月)
  ④ 生のサイズは開きあがりの80~100gが手頃なサイズです。骨があたらず柔らかくて美味しいサイズ。国産のあなごは湾内で大きいサイズは少ない。

現在松井泉が仕入れすることができる良質のあなごの産地は

  ① 長崎県の対馬周辺
  ② 韓国産(黒山島周辺、巨済島周辺等)

結論から言うと、産地へのこだわりではなくあなごの質にこだわって頂けると、
かなり脂ののった美味しいあなごを提供することが可能です。

『あなごの産地について思うこと②』
私たち松井泉はお客様に本物のあなごの味を理解し、味わって頂きたいと考えております。それ故に、使う素材(あなご)の品質や製法にはこだわりを持っております。
今回はお客様が特に気になさる産地について考えてみます。
あなごは住む場所や季節によって、品質や大きさにばらつきがあります。一般的に有名な産地のあなごであっても、1年中同じようなサイズで脂がのっているものが安定して獲れることはありません。あなごも魚ですので、産地産地によって旬があります。有名でない産地でも素晴らしいあなごはあります。実際有名な産地はたくさん獲れて良かった時代はあったと思いますが、今となってはメディアによって作られた物のように思えます。
よくお客様から、「おたくのあなごの産地はどこですか?」と聞かれます。お客様のご希望と違う産地だと、「明石(淡路、瀬戸内など)ではないのですか?そしたら止めときます。」
と言われてしまいます。私はそのお言葉を頂くたびに悲しくなります。「特定の産地だけで年中美味しいあなごが消費者を満足させる程獲れるはずがないのに。あなごのプロがすすめる今が旬の美味しいあなごになぜ見向きもしないのだろう。残念!」と心の中でつぶやいてしまいます。
 現在、松井泉のあなごは主に長崎県対馬沖もしくは韓国産あなごを使用しております。少し昔、長崎県対馬沖は韓国船が漁をすることが可能でした。(最近時々、ニュースで韓国船が日本の漁業域に入ってきて問題になっていました。)よくよく考えると、同じ漁場でも日本船が日本にあなごを持って帰ると国産、韓国船が韓国に持って帰ると韓国産ということになります。一般的に国産がマルで韓国産・中国産がダメという風潮があります。外国産が「くさい!」とか「かたい!」とか言われますが、鮮度・脂ののり・保存状態が良ければ、国産以上のあなごもあります。
 松井泉ではあなごの質にこだわってあなごを選別していますので、時期によりあなごの産地は変ることもあります。しかし、美味しいあなごは産地ではないのです。産地を限定していては美味しいあなごを逃してしまいます。
あなごのプロから言えることは、お客様には「産地よりもあなごの質にこだわってほしい」ということです。美味しいあなごは先入観なしで食べてみて、「うまい!」と思えるあなごだと考えます。

今後、あなご屋としての経験や最新のあなご事情などをお客様にお伝えしていきたいと考えております。その事によって、あなごをもっと身近な食材として感じて頂けることを願っております。